コラム記事「ゲーム理論から見る情報商材の不利益性」(2/2)

2022/08/05  土屋翔 (宇都宮大学 基盤教育センター 特任講師)

情報提供者側の立場に立って考えてみます。情報提供者側は、“自分も成功した”“一緒に成功者になろう”“優雅な生活をしよう”というわけです。実際に成功しているのであるならば、信憑性が高いです。ただし、今回売買の対象は“ただの情報”ではなく『希少性』のある情報です。売れば売るほど情報は陳腐化して希少性は無くなりませんか??そもそも、その情報で儲かっているならば、情報を売る必要はありませんよね??矛盾が生じてしまいます。

 

では図で見てみましょう。いくつかの条件を設定します。

・市場のΠは100とする

・情報を得れば市場全数を獲得することができる

・獲得できるプレーヤーが複数いた場合、等分する

 

まず表1をみてください。情報が本物だった場合、情報提供者は情報を提供しなければ常に100を得ることができます。もし、情報を提供し購入されてしまったら、50しか得ることができません。したがって、その情報が本物であるならば情報提供者は情報を提供しない方が自身にとってメリットがあるのです。

 

次に表2をみてください。情報が偽物だった場合、情報提供者は情報を提供するかつ購入者に購入してもらうことによってでしかメリットがありません。すなわち、情報提供者は何がなんでも情報を買ってもらうようにしつこく勧誘するのです。

 

さて、皆さんもお気づきのように、購入者がメリットを享受するには、本物の情報を購入するしかないのです。では、購入する前にその情報が本物かどうか判断する方法はあるのでしょうか。そんなのありません!!もし、情報が本物でも表1のように提供者は売りません。いずれにせよ、情報商材は無理ゲーなのです。一度買ってしまったら、誰かに売らなければ自分は損をしたままです。このように連鎖してしまいます。

 

ちなみに筆者は、いい情報持っています。誰か50万で買いませんか??半年で元が取れるのでそれ以上のメリットはあると思います。一緒に成功者になりましょう。


次のページ